海岸製作所

Blog

2016
5
28

何気なく乗っていた通勤電車がヘンだった件

筆者は鉄道ファンで普段から京急線を利用していて京浜急行が好きですが、普段乗っていればいいやで満足してしまう体です。

でも、今回は何気なく乗っている通勤電車が相互乗り入れのマジックによって実は変なやつだったというおはなし。



その変だった列車は?


IMG_3006
京急線新逗子駅8時32分発の特急都営浅草線押上行きです。


どこが変?


1)京急線なのに都営地下鉄の車両で運行されている。
京急の電車はこんな風に赤い車両です。
13043299_822517077881107_5243034132092132302_n
でも、普段とは違う白い車両が来たら普段から電車に乗っていない人はちょっとは驚くかもしれません。
相互乗り入れでは当たり前の事で、乗り入れ先の車両で運行されている事は珍しくはありません。
しかし、その殆どは東京都内の羽田空港方面への運行で、横浜方面には日中はまず他社の車両が入ってこず、朝や深夜のみと限られています。
それでも、大多数が久里浜や三崎口など横須賀方面へ向かう運行になっています。
金沢八景駅から新逗子駅方面には平日のみ1日たった4本しか乗り入れません。実は4本のうちの1本がこの列車でした。
そのためかなりレアな事例でしょう。


2)運行区間が珍しい。
新逗子駅からは、朝ラッシュ時のみ6本、特急電車が運行されていますが、
都営浅草線に直通するのは最初の6:36発の特急京成線青砥行きと、最後のこの電車のみです。
それ以外は都心には乗り入れない羽田空港行きで、もちろん京急線のみの運行であるので、京急の車両です。
しかも、最初の青砥行き特急は京急の車両で運行されるため、この列車の変態度に拍車をかけています。


3)行き先が珍しい。
京急線発都営浅草線直通電車の殆どが都営浅草線を飛び越えて京成線まで直通します。
成田行きとか印旛…なんとか行きもありますが、青砥行きか、高砂ゆきがポピュラーな行き先です。
しかし、押上行きとなると平日たった2本のみの存在です。


まとめ?


まとめると、1日4本のみこの駅に姿を現す他社車両、
1日2本のみの京急線新逗子駅発の都営地下鉄直通電車である事と1日2本のみの行き先という3つの要素を兼ね備えた実に濃い電車なのでした。
しかし、コイツ新逗子駅で折り返し、8時32分発の特急になる前も変だったのです。



変だった折り返す前のスケジュール


まずは前日からさかのぼる必要が有ります。なんとこの列車に使われる車両は前日に都営地下鉄から京急線にやってくるのです!


北総線の印旛日本医大23:06発 →京成線・都営浅草線経由、京急線内特急→終着:金沢文庫2459着
(土休日は、京成線高砂発23:20 → 終着:金沢文庫24:37着)
前日の京急線の終電の特急で金沢文庫止まりでやってくるのです。
終電が各駅停車ではく特急というあたり珍しいし、京急らしい所。
で、他所様の車庫でお泊まり。


翌日はこんなスケジュールです。
金沢文庫5:53発→[エアポート急行 新逗子行き]→新逗子6:06着※空港発着しないのにエアポート急行。しかも各停
新逗子6:10発→[エアポート急行 羽田空港行き]→羽田空港7:12着
羽田空港7:16発→[エアポート急行 金沢文庫行き]→金沢文庫8:08着(金沢文庫到着後、特急に変更
金沢文庫8:16発→[特急 新逗子行き]→新逗子8:27着※各駅停車なのに特急
わ け が わ か ら な い よ
いきなりお泊まりしたと思いきや、都営地下鉄の車両なのに京急線内を往復しています。
しかも、空港発着しないのにエアポート急行だったり各駅停車の特急だったり[*1]と
初めての利用者が戸惑いそうなツッコミどころ満載なのですが、そこは置いておいて
なぜ、都営地下鉄の車両が京急線内を往復運行するのでしょうか?
朝の準備体操?!


違います。これは精算運用というルールに基づいたものなのです。

[補足*1]京急の場合、各駅に停車する列車でも折り返しする運行の列車種別で運行するルール(一部を除く)なので入出庫の際に各駅停車なのに急行や特急といった列車が見られる

精算運用って?


相互乗り入れをしている鉄道会社は、自社線内を乗り入れ先の他社の車両が走る場合について「他社の電車をお借りして営業します」という扱いになる。
自社の車両が他社に直通した場合は「乗り入れ相手の会社に車両を貸し出した」として扱う。
相互乗り入れをしている鉄道会社は、常にお互いの車両をレンタルしているという考え方なのです。

このレンタル料は精算が行われるのですが、いちいち金銭で精算していたんじゃ面倒だし、
お互いのレンタルした走行距離を同じにして相殺しましょうというルールが設けられた。

実は今回の例はその走行距離を同じにするために都営地下鉄の車両が京急線内を往復していたのである。

都営)京急さん、おたくの車両のレンタル料の方が高くないっすか?
京急)都営さん、ウチの車両の貸し出しの方がお宅の路線での走行距離長いんですが…
都営)あ、わかりました京急さん、ウチの車両もうちょっと貸し出すんで、これでチャラになりませんか?
京急)都営さん、それじゃ、おたくの車両を新逗子から羽田空港間で使わせてもらいます。
つまり、こういうことだった。


他所の会社でも同じで、例えば東急東横線で渋谷行きなのに東京メトロ副都心線の車両だったりという事もある。
maxresdefault-1 東京メトロ車両による東急東横線の渋谷行き。



ふだんあなたが何気に乗っている通勤電車もこんなルールに則るために
イレギュラーなスケジュールで走っているかもしれませんよ!!

Category カテゴリ一覧

Author このブログを書いてる人

ハヤシ ヒロキ

2009年からWeb製作屋やってます。
葉山育ち。
お酒とアクアリウムと鉄道が好きな30代。
どちらかと言えばデザインよりもコーダー寄り。
表現の幅を広げたくてインタラクティブなものやシステム的なものも取り入れるべく悪戦苦闘。
シンプルで動きなど触っておおっとなるWeb制作を目指しています。
お仕事もお待ちしております。

お問い合わせはこちら